イランの核開発問題を受け、日本企業が自ら権益を縮小したイラン南西部の大規模油田「南アザデガン油田」について、中国石油天然ガス集団(CNPC)が権益の70%を獲得する見通しになった。イラン石油省傘下のシャナ通信などが報じた。日本が開発主導権を手放した後、資金不足のイランは中国に接近していた。
日本側は04年、国際石油開発(現・国際石油開発帝石)が同油田の権益の75%を獲得。政府の意向も受け、自主開発油田としての期待を背負っていた。その後、米国とイランの関係が悪化したことなどに配慮し、開発に着手しないまま権益を10%に縮小。残りはイラン石油公社側が肩代わりすることになった。
中国はイランで活発に資源外交を展開しており、大規模投資に慎重な欧米や日本を尻目に、大規模ガス田の開発に参入するなどしている。
アザデガンの話は、私が担当の中東第二課長になる前、2000年ごろ、つまりイランの大統領が、改革派のハタミさんだったころに、日本が開発することになったところから始まります。その当時から、二人の米国議員の名前(忘れました)を冠した米国法により、イランを財政的に支援することになる投資をした企業は制裁を受ける、ということになっていましたが、そのころ日本は、米国に対し「イランの改革派を支援することがイランが変わっていって、国際社会に入っていくことになることだから、そのためにもアザデガンの開発は必要」と説得し、同時にまだまだ必要となる日の丸石油の確保に動くという立場だったと思います。しかし、2001年になると状況が変わった。第一に米国がブッシュ政権になった。第二にイラン国内の政治。もともとクリントン政権下でも、米国は日本によるアザデガン油田開発とその理由づけを明示的に認めていたわけではありませんでした。ブッシュ政権になるとそれがはっきりした。開発が米国法に違反するかは、議会が決めることだが、イランの国内を改革派・保守過激派に分けるのは意味がなく、彼らは結局のところは一体。たとえ、改革派が強くなっても、核開発は止められない。だから、油田開発はイランに利益を与え、核開発の資する。というものです。イランの改革派からは、米国が無理解だから、保守過激派(保守と過激派を区別すべきかな?)が、勢いを増しイランの改革が進まない、自分たちの力が衰えると言ってくる。そのような状況下、とりあえず、アザデガン油田の開発調査を進めると、えらい広大な地域で、どこを掘ったら出るか大規模な資源調査をしなければならないし、調査をする場所は、元地雷原で、まず地雷の処理から始めなければならない。それは誰がやるのか?当然それはイラン側でしょう。日本は、石油開発に来ているわけで。いやいや、イランは、開発のために日本に一定の場所を提供しているわけで、そこでどう調査する、つまり地雷の除去が調査に必要なら調査側がやるべきものでしょう。なんて会話が交わされたかどうかは知りませんが、それに近い状況が生まれ、なかなか調査・開発も進まない。イランは、ハタミが退場し、保守強硬派(こっちがしっくりくる?)のアフマドネジャディが大統領になって、欧米との対立が鮮明となる。日本だって、核開発をイランが密かにやっていたとしたら黙っちゃいられない。結局、3年前、アザデガンに対する日本の権益は10%になってしまった。今回の件は、中国に出し抜かれたと言うより、なるべくしてなったと思った方が良いと思います。
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